雲仙普賢岳のふもと島原半島。海に囲まれた温暖な気候の中で作られている「ながさき南部の新玉ねぎ」は、「甘くてみずみずしく、シャキシャキしていておいしい」と利用者に好評です。
産地を訪れ、ながさき南部生産組合の永友誠さん・将弥さん親子にお話を伺いました。
土づくりにこだわり、環境に配慮した栽培
「一番大切なのは、〝土づくり〞です。うまい作物は、いい土からしか育ちません。土の健康を守るために、化学合成農薬や化学肥料は地域の一般的な栽培方法の半分以下に抑え、有機質肥料を使っています。化学肥料だけを使った作物とは、全然違うと思いますよ。甘味があります」と話す誠さん。
除草剤を使わないため、畑全面を黒いシートで覆い、雑草が生えないよう工夫していますが、土が元気なので隙間からたくさんの雑草が生えてきます。「種まきから収穫までの約半年は、とにかく雑草との闘いです。1本ずつ手作業で引き抜くので、爪がはがれてしまうこともあります」。
収穫は3月末から5月。気温が高くなる前に収穫することで、シャキシャキのみずみずしい新玉ねぎをお届けできます。
玉ねぎを作り始めて20年。子育てに似ているかも
造園業を営む一家の5代目として生まれた誠さん。高校卒業後に家業を継ぎましたが、いつしか農業も始めることに。今では、造園業は兄弟に引き継ぎ、誠さん自身は農業に専念しています。
「農業を始めた頃、実は『時間も手間もかかるから、玉ねぎだけは絶対に作らない』と決めていたんです。他の作物を育てていましたが、連作障害が起こり、2年ほどで思うようにできなくなってしまいました。そこで、始めたのが玉ねぎです。作り始めて20年。手間がかかって大変ですが、気が付いたら夢中になっていました。毎日、畑の表情が違うんです。
畑の様子をじっくりと観察し、変化を感じて工夫していく作業が好きです。少し子育てに似ているかもしれませんね」と誠さんは話します。
食べてくれた人からの感想が、玉ねぎ作りの励み
収穫のタイミングになると「皆さんに早く届けたい!」とワクワクするという誠さん。実際に食べてくれた人の感想を聞くことが何よりの楽しみになっているそうです。「皆さんから届く手紙が、モチベーションにつながっています。『おいしい玉ねぎをありがとう』『玉ねぎ嫌いな子どもが食べられるようになりました』などと言ってもらえたときはすごくうれしいです。農家になってよかったなと実感します」。
親子2代、父の背中と息子の柔軟さ
数年前から、息子の将弥さんも玉ねぎ作りに参加するようになりました。「農業は、経験値だけではできません。例えば平均気温の上昇など、常に環境は変わっていきます。ですから、柔軟な考えができる息子の存在が頼りになっています」と誠さん。将弥さんは、「幼い頃から父親の姿を見ていたからか、自然と『将来は農家になりたい』と思うようになりました。農業は好きだし、知らないことを知っていくことが楽しいです。作物の特徴だけじゃなく、その裏側やストーリーも皆さんに届けたいです」と話します。
「ながさき南部生産組合」詳しくはこちら
https://www.tentoumusi.net/
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ゴハンのもと編集部